アルミの高強度化を実現する、高速恒温鍛造とは

戸畑ターレットの高強度アルミ鍛造は、アルミと金型を一定の温度に加熱しながら鍛造する「高速恒温鍛造」です。
熱処理と鍛造を同時に行う加工熱処理で、金属の結晶構造を硬度化しています。

高速恒温鍛造の流れ

1

溶体化処理(熱処理)

溶体化処理(熱処理)
アルミ(A6061)を加熱し、アルミ合金中の成分を固体の中に溶かし込みます。
ボンデ処理(リン酸塩被膜処理)による、潤滑処理は不要です。
2

高周波加熱

高周波加熱
非接触の高周波加熱によって、金型を加熱します。
量産ラインの立ち上げ時間を短縮するため、金型を5分以内に300℃へ温度上昇させます。
3

温間鍛造

温間鍛造
加圧制御のできるサーボプレスを使い、鍛造を行います。
数秒の加工サイクルの中で、熱流動→冷却→加熱のバランスを保つことで、金型温度の安定を実現しています。
4

時効処理(安定化処理)4h

時効処理(安定化処理)4h
鍛造後、熱処理によりアルミの強度を向上させ、より安定的な組織へと変化させます。
5

トリミング

トリミング
プレス機械を使い、最終工程で余肉を切り落とします。
既存のアルミ鍛造品(冷間鍛造)にくらべ、少ない製造工程で成形が可能です。
高強度のポイント
アルミ高強度化のポイント
  • 加工熱処理による結晶粒微細化強化
  • 塑性変形による加工硬化
  • 熱処理による時効硬化

高強度アルミ鍛造(高速恒温鍛造)の要素技術

高強度アルミ鍛造(高速恒温鍛造)の要素技術
高強度アルミ鍛造(高速恒温鍛造)の要素技術

加熱装置の耐衝撃技術

金型を加熱する「誘導加熱コイル」の形状・設置位置を最適化。
高速鍛造による衝撃を吸収し、安定した量産加工を実現しています。

高強度断熱材の開発

金型とダイセット(金型取り付け治具)との間に「高強度断熱材」を設けることで、金型の熱流動を防止。
断熱性と強度に優れた断熱材を新たに開発し、さらに金型との接触面を減らすことで金型温度の安定を実現しています。

鍛造シミュレーションによる工数削減

量産ラインの立ち上げ工数削減や、リードタイム短縮が実現

自動車ステアリング部品
実例.1
自動車ステアリング部品(採用事例はこちら
歪みを可視化し解析
実例.2
歪みを可視化し解析

高強度のポイントである最適な歪み・加圧速度・加工温度を設定できるデータベースを確立。
データベースから条件を選択しシミュレーションを行うことで、強化したい箇所に歪みを残すことができます。